かあさん ちょいちょい がん患者

食道がんと咽頭がんと肺がんのお母さんと、家族と育児の闘病生活をイラスト日記にしました

相模原の事件から一年経ったと聞き、私が入院中だった時の事を思い出す

news.yahoo.co.jp

 

上記の記事を見つけて、本当は今日はブログを更新しようとは思っていなかったけど、私の記憶が蘇ってきたので、記してみます

 

約3年前の癌手術と後遺症

2013年の夏に私の癌が発覚して、11月25日に20時間の大手術を受けました。

食道全摘出や、咽頭と共に声帯を切除し、再生手術を受けました。

それまでは日常に不自由のない健常者でしたが、一変して障がい者になりました。

 

ご存じ、私は声が出ませんし、食事を口から摂取することが出来ません。

肺も切除していますし、呼吸は永久気管孔という 喉の穴から行います。

後遺症を上げ始めたら、どこかが痛くなりそうです(笑)

 

手術をした大学病院には約30日入院し、その後、後遺症をコントロールした日常生活が普通に送れるように、リハビリを兼ねた入院生活を約2カ月送りました。

 

その時は、永久気管孔の呼吸にも慣れておらず、手術の傷は痛み、食事は一口も喉を通りません。腸ろうの下痢が続き、痩せるばかりの体を見ていると、自分自身のことながら、病気を受け入れる難しさを感じていました。

 

2014年お正月

お正月に入院を経験された事のある方は、どのくらいいらっしゃるでしょう。

私が入院していた病院は、

一階は外来、二階は透析患者さんの専用でした。

三階が、私の様なリハビリ患者さんが多く、

四階は、重度障がい症状の方や、介護施設から運ばれて来た様なご老人ばかりでした。

 

大学病院などで緊急を要する深刻な病気と闘う方が、偶然お正月に入院されたのなら致し方ないのですが、私の様な「リハビリ」を兼ねた病院のお正月に、そんな患者さんはいらっしゃいません。

年末の慌ただしい中にでも、いったん治療を休憩します。

 

お正月に入院しておられる、つまり「一時退院」や「外出」すら出来ない患者さんは、「重症」であるか「事情がある」方ばかりです。

特に三階の患者さんで、大晦日から元旦に掛けて残っておられる方は、本当に、悲しくなる程、泣きたくなる程、いらっしゃいませんでした。

 

その時の四階の様子

ビデオもテレビも興味がなく、本を読むしかなかった私は、三階にある本に興味がなく、退屈で四階まで 運動がてら探しに出かけました。

病院は非日常的な寂しさで、看護師さんと掃除の方がお喋りする声が聞こえるくらいです。

それでも四階は その静けさとは裏腹に、開け放たれたままの病室に患者さんが横たわっているのが見えました。

「モノ言わぬ」「寝たきりの」方々に見えました。

 

本は談話室に沢山並んでいます。

本を探して少しその場で座っていると、子供を連れたご家族が数名、お見舞いに訪れたのだと思います。談話室の前を通られました。

ホンの数分、お部屋に入られましたが、子供の帰りたいという「ぐずる声」が聞こえて、あっという間に出て来られて、看護師さんにちょこっと挨拶をされて、直ぐエレベーターです。

 

暫くすると、ご婦人とその娘さんでしょうか?

これも10分いたかどうか?

直ぐ帰られました。

 

たった 二組。

なんて少ないんでしょうね。

この短い訪問は、お正月だから?

イヤお正月なのに、来て見舞っただけでも十分だという感覚なのでしょうか?

子供を連れてくるなら、退屈しない様に工夫がいるでしょう。

もう少し、ゆっくりする時間はないのかしら?

 

何しに来ているのだろう?

 

あるおじいさんが、私に話しかけられた

談話室に一人のご老人が入ってこられて、近くに座られました。

上品な方で、私に話しかけられました。

私は当時、人工喉頭器を使う余裕はありませんでしたから、会話は出来ません。

そのようにジェスチャーで伝えると、そのおじいさんはお一人で話されました。

 

今日は一人でここまで来た事

息子さんご夫婦は 誘っても来なかった事

奥様が脳梗塞で 長い期間 入院されている事

もう話しかけても、全く反応がない事

 

そうして

「来ても、話しかけても、なんもないんじゃけぇ、来てもしょうがないのぉ」

そして

「情けないのぉ」と涙を流されました。

 

その時のおじいさんのお気持ちは、いかがなものでしょう。

「情けない」の奥に潜む真意にはたどり着けません。

 

「イヤ まだ奥さんは生きておられます」

と応えるのが良いのか

「いつか 回復されるかもしれません」

と根拠のない望みで つなげて差しあげるのか良いのか

「お見舞いに来られたあなたは、奥さんを愛していらっしゃるのですね」

と話題をそらすのが良いのか

「情けなくはないです」

と言って戒めるのか

 

言葉の出せない私は、そのままそのおじいさんをエレベーターまでお見送りしましたが、今これを記しながらでも 正しいお返事が浮かびません。

 

相模原事件の社会反応

言及した記事には、日本社会が障がい者に対して目を向ける機会を持たず、その生活を知ろうともせずに、奇異や好奇心の対象とするなどの差別的迫害、家族や自分がもしそうなった場合の態勢を具体化せずにおいて、単に事件に対してのみ共感や配慮を及ぼす、上から目線の日本人を憤ります。

 

「では、あなたは、ご自分の近くにいる障害者が、その人の望む人生を生き、その人らしいありようでいることを、ごく普通に受けとめ、憎んだり怒ったり疎んだりせずにいられるのですか?」(記事より抜粋)

 

病院と障害者施設は違います

 

しかし重篤な症状を

「情けない」とおっしゃるおじいさん

直ぐ帰る家族

見舞いにも来ない方々

 

私が見た このような病院のお正月の光景は、決して褒められることではありませんが、これがその時の現実でした。

日本社会の縮図の様に思います。

障がい者や病人を 心底思いやる事の出来ない 社会。

涙を流すしかできない現実。

 

この光景を

心底、責められる方が、何人おられるか?

真剣に考えて下さる方が 何人おられるでしょうか?

 

私自身が障害を持つ身でありながら

答えは なかなか見つかりません。

 

長々と読んでいただいてありがとうございました。

上手に文章に出来ませんが、

私の経験をもとに記してみました。

もし不快な表現がありましたら

お詫びします。

今日はイラストもなしm(__)m

 

 

昨日の夜 

歯 が ゴヂッと 抜けました。

丸ごと 根こそぎ!

午後から病院です(笑)

 

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