かあさん ちょいちょい がん患者

食道がんと咽頭がんと肺がんのお母さんと、家族と育児の闘病生活をイラスト日記にしました

年寄りは 可愛い方が良い 

タイトルの様な言い方をすると、若年の上から目線が!と怒られてしまいそうですが

そんなつもりはさらさらありません。

 

先週土曜日に私の作品を、父親の病室に搬入した時、心から実感した感情です。

 

広い部屋に収まる作品

到着した時間は、午前中の11時頃でした。

あいにく父親は、お風呂の時間だったらしく不在でしたので、おっと~と二人で(娘はクラブとお友達優先)作品を壁に貼り付けます。

 

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おっと~の背中です。初披露(o^―^o)

 

広い部屋の、真っ白い壁は、大きく見えた作品をすんなり受け入れて、確かに華やかさは増しましたが、やっぱり認知症の老人に似合うカラーではなかったかも知れないと、少し不安になりました。

 

介護士さんたちが物珍しそうに尋ねてきて、朗らかに作品を褒めて下さいましたが、私が声を発しないので不思議そうにされました。

(私の現在の声は、他の入所されている方の驚きになってはいけないので、機械を使用することなく、会話は筆談用のミニボードで行いました。)

 

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左がベットになります。右に小さなキャビネットがありました。

 

「起きている」父親に会う

少ししてお風呂上がりの「起きている」父親が部屋に帰ってきました。

 

迎えにドアまで行くと、お客さんである私に驚いて

「おぉ~」とだけ声をあげました。

眼を開けて、確実に私を捉えましたが、私の名前や、挨拶と言うような言葉を発することはありません。

 

介護士さんにお礼を言い、私が車いすを押しながら部屋の中に入りました。

父親はおっと~の事は目に入らないのか、殆ど関心を寄せる事はなく、壁の作品を見ました。そして、

「こりゃ~すごいのぉ~」とか、「ほぉ~」というような感嘆語を発しました。

 

二人で向かい合い、ボードにいくつかの質問や我が家の近況を(息子の就職や娘のクラブなど)を書いてみました。

でも文字が読めているのか?

どこまで理解しているのか?

写真も見せましたが、意味のある言葉は殆ど出ませんでした。

 

おそらく私の息子も、娘も、分からないのでしょう。

イヤ、私やおっと~も、二人が何故ここにいるのかも、なぜ作品を貼っているのかも、何が何やら分からなかったのでしょう。

手を握っても、どうしていいのか分からない様な表情になり、時々ウトウトと、目を閉じて眠り始めます。

 

そして、面白いことに

「あなたは誰ですか~♪

      どこの誰ですか~♪」

というような、即席に作ったのか?

オリジナルの様な歌を歌いだしました。

 

あはははは~(*´ω`*)

この歌はなぁに?

父親のユーモアかしら?

きっと私達に困って

歌にしちゃったのね~

可哀そうなことをしちゃったわね~

 

でも父親は、思ったより悪い「ボケ」方をしとらんかもねぇ。

楽しくボケているのかも知れんわ。

 

長い間私は怒っていて、心憎く思ったり、苦しい気持ちにもなったけど、父親はそれも総て忘れちゃってるんだから、どうしょうもないねぇ。

私も忘れてあげた方が良いんじゃろか。

それがいいんよね。

幸せならそれで良いんよね。

ボケて幸せかもしれんね。

 

一緒に三人で笑いました。

 

印象に残ったこと

「調子はどう?」と質問すると

「ホンマは嬉しいんじゃろうけど、嬉しゅうないのぉ~」と言いました。

意味深です。

 

「色白でハンサムよ」と書くと

私の顔を見て

にたぁぁぁぁぁぁ~

と笑いました。

笑った顔には、歯が一本しかありません。

 

その顔を見て、また私も

にたぁぁぁぁぁぁ~

と笑い返しました。

 

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うまく言えませんが

ようやく普通の家族の様な気持ちになりました。

父親のイラストも、ユーモアを交えて描ける気持ちになりました。

 

私が父親の為に、娘としてしてあげられる事は、今回の作品を持って終了です。

そして、父親が私の父親であったことも、もう終了です。

 

今度からは、人と人の関係です。

 

父親は、小さなおじいちゃんになりました。

 

 

本当に私事を、お読みいただいてありがとうございました。

作品を褒めて頂いて、お世辞でも嬉しくて、笑って父親に会えました。

出来る事なら読んで下さる皆さまにお会いして、一人一人の方にお礼を言いたいと思います。ありがとうございました。

 

オチ

そのあと、2年半年ぶりに母親に会いましたが、おっと~も私も、母親で疲れ果てました。一言も二言も多いわ!

 

作品のモチーフになった私達家族の写真を見て

「あんたらばぁで(あなた達ばっかりで)

わたしらが(父と母)おらんが!」

 

「ここに貼ったら邪魔じゃ言われる」

 

なんも言えねぇ・・・

 

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